東京でエムポックスが再び増加。いま知っておきたいこと

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一時期、ニュースで頻繁に耳にした「エムポックス」。

以前は「サル痘」と呼ばれていた感染症です。

2022年から2023年にかけて世界的に感染が拡大しましたが、その後は報道される機会も減り、

「もう流行は終わった」

という印象を持っている人もいるかもしれません。

しかし、2026年に入り、東京都では再びエムポックスの報告が増えています。

ゲイ・バイ男性にとっては、改めて知っておきたい感染症のひとつです。

◯ 2026年、東京都のエムポックス報告数が増加

東京都感染症情報センターによると、都内のエムポックス患者報告数は、

2022年 5件
2023年 168件
2024年 14件
2025年 17件
2026年 3月末時点で31件

となっています。

2023年の大きな流行のあと、2024年、2025年にはいったん減少しました。

ところが2026年は、3月末までのわずか3か月間ですでに31件。

前年2025年の年間17件を上回っています。

もちろん、2023年の168件と比較すれば、現時点で「爆発的な大流行」と呼ぶような状況ではありません。

しかし、

「エムポックスはもう終わった感染症」

と考えてしまうのも早そうです。

なぜゲイ・バイ男性に知ってほしいのか

まず、大前提として、

エムポックスは「ゲイの病気」ではありません。

性的指向によって感染する感染症ではなく、誰でも感染する可能性があります。

一方で、2022年以降の世界的な流行では、男性と性的接触を持つ男性、いわゆるMSMの間で多くの感染が確認されました。

現在、日本国内や東京都内では、性的接触を含む人と人との密接な接触が主な感染経路となっています。

だからこそ、ゲイやバイセクシュアル男性のコミュニティでは、

「自分には関係ない」

ではなく、

「こういう感染症もある」

くらいの知識を持っておくことが大切です。

これは誰かを責めるためではありません。

自分自身とパートナーを守るためです。

◯ エムポックスは「セックスそのもの」だけで感染するわけではない

エムポックスでは、感染している人の皮膚の病変や体液などとの接触によって感染することがあります。

また、

・性的接触を含む密接な身体接触
・皮膚病変への接触
・体液や血液との接触
・長時間、近い距離で飛沫にさらされること
・感染者が使用した寝具などへの接触

などでも感染する可能性があります。

そのため、

コンドームを使用すればエムポックスを完全に防げる、というわけではありません。

もちろん、コンドームはHIVやその他の性感染症のリスクを減らすために重要です。

しかしエムポックスの場合、コンドームで覆われていない皮膚同士が接触することがあります。

キスや抱擁、裸で身体を密着させるような行為についても、相手に感染性のある皮膚病変などがあれば感染リスクが生じます。

◯ 覚えておきたい症状は「発疹」

エムポックスの代表的な症状として知られているのが発疹です。

感染後、一定の潜伏期間を経て、

発熱
頭痛
リンパ節の腫れ
筋肉痛
倦怠感

などが現れ、その後、発疹が出ることがあります。

発疹は、

顔
手足
身体
口の中
陰部
肛門周辺

などに現れることがあります。

特に性的接触によって感染したケースでは、性器や肛門周辺など限られた場所に発疹が現れる場合もあります。

必ずしも、

「高熱が出て、全身に大量の発疹が出る」

とは限りません。

一見すると、

ニキビ
吹き出物
毛嚢炎
虫刺され

のように見えることもあります。

最近性的な接触があり、その後、陰部や肛門周辺などに普段見たことのない水疱や発疹が現れた場合は、

「ニキビだろう」

と決めつけないほうがよいでしょう。

PrEPを飲んでいてもエムポックスは予防できない

ゲイ・バイ男性の間では、HIV予防のためPrEPを利用する人も増えています。

ここで注意したいのが、

PrEPはエムポックスを予防する薬ではない

ということです。

PrEPはHIV感染を予防するための薬です。

したがって、

「PrEPを飲んでいるから性感染症対策は大丈夫」

というわけではありません。

HIV、梅毒、淋菌、クラミジア、エムポックスなどは、それぞれ別の感染症です。

予防や検査についてもそれぞれ考える必要があります。

「相手が元気そうだった」だけでは分からない

感染症について、

「相手が健康そうだった」

「発熱していなかった」

「見た目には何もなかった」

ということだけで安全性を判断することはできません。

エムポックスでも症状の出方には個人差があります。

また、見えにくい場所に病変がある場合もあります。

これはエムポックスに限らず、多くの性感染症にもいえることです。

大切なのは相手を疑うことではありません。

自分自身にも感染する可能性があるという前提で行動することです。

◯ 気になる発疹があったら、セックスを休むという選択

もし、

「これ、何だろう?」

と思う発疹や水疱がある場合、

原因が分かるまでは、性的接触や肌を密着させる行為を控えるという選択があります。

これは大げさな対応ではありません。

仮にエムポックスではなかったとしても、梅毒、ヘルペスなど別の感染症が隠れている可能性もあります。

医療機関で相談して原因が分かれば、それで安心できます。

症状がある状態で、

「約束していたから」

「せっかく週末だから」

と無理をする必要はありません。

タオルや寝具の共有にも注意

エムポックスは性的接触だけでなく、感染者が使用した寝具などを介して感染する可能性もあります。

感染が疑われる場合には、

タオル
シーツ
衣類
寝具

などを他人と共有しないことも重要です。

皮膚に病変がある場合には、できるだけ病変部分を覆い、直接他人が触れないようにすることも感染拡大を防ぐ方法のひとつです。

◯ 2026年4月、東京都で「クレードIb」も確認

2026年には、もうひとつ動きがありました。

エムポックスウイルスには複数の遺伝的な系統があり、大きく、

クレードI
クレードII

に分類されています。

2022年以降、欧米や日本などで大きく流行したのは主としてクレードIIbでした。

一方、アフリカの一部ではクレードIbの感染拡大が問題となりました。

そして東京都によると、

2026年4月には東京都内でもクレードIbの患者が確認されています。

だからといって、

「新しい危険なウイルスが東京で大流行している」

という意味ではありません。

必要以上に恐れる必要はありません。

重要なのは、

エムポックスが現在も世界で感染を続けており、日本も例外ではない

ということです。

感染症の話を「恥ずかしい話」にしない

ゲイコミュニティでは、HIVや性感染症について話すこと自体を、

「遊んでいると思われそう」

「感染していたら恥ずかしい」

「相手に聞きにくい」

と感じる人もいます。

しかし感染症は、人間性を評価するものではありません。

セックスをする以上、感染症にかかる可能性は誰にでもあります。

感染した人を責めることより、

症状に気づくこと。

検査や診察を受けること。

感染している可能性があるときには人との接触を控えること。

そして必要であればパートナーに伝えること。

こちらのほうが、ずっと重要です。

◯ セックスを怖がる必要はない。でも知識は持っておこう

エムポックスの話をすると、

「じゃあセックスしないほうがいいの?」

と思う人もいるかもしれません。

そんな極端な話ではありません。

感染症のリスクをゼロにすることは難しくても、知識を持つことでリスクを下げることはできます。

たとえば、

・相手や自分に原因不明の発疹があるときは性的接触を控える
・普段と違う症状があれば医療機関へ相談する
・HIVや性感染症について定期的に検査する
・感染症についてパートナーと普通に話せる関係をつくる

こうした小さな行動でも意味があります。

「最近エムポックスが増えているらしいよ」と話せるだけでもいい

2026年の東京都では、エムポックス患者の報告が前年を上回るペースで確認されています。

2023年のような大規模な流行が現在起きているわけではありません。

だから、怖がりすぎる必要はありません。

でも、

忘れてしまう必要もありません。

ゲイバーで。

友人同士で。

パートナーと。

「最近、東京でエムポックスがまた増えているらしいよ」

そんな会話が普通にできるだけでも意味があります。

感染症について話すことをタブーにしない。

症状があったら休む。

気になったら診察を受ける。

それだけでも、自分だけでなく、その先にいる誰かを守ることにつながります。

エムポックスを必要以上に恐れるのではなく、正しく知って、必要なときにはきちんと行動する。

2026年、いま改めて覚えておきたい感染症です。

※本記事は2026年9月時点で公表されている東京都感染症情報センターの情報をもとに作成しています。感染状況や医療情報は変化するため、最新情報については東京都感染症情報センター、東京都保健医療局、厚生労働省などの公的情報をご確認ください。

東京都感染症情報センター
https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/mpox/mpox/

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